先日に「樹脂切削加工で表面粗さRa1.6はでるのか?」を投稿しましたが、その記事を制作する際に「表面粗さ」についてWEBで調べていると、面白いサイトを見つけました。
・あるマシニングオペレータは、今までカタログ記載の加工条件で加工していた
・製造コスト削減(加工時間短縮)のため、送り速度を上げることを提案した
・そのオペレータから「仕上げ送り速度をどこまで上げたらいい?」と相談があった
・「理論仕上げ面粗さの簡易計算式」から、仕上げ送り速度を算定した
・今までの方法(カタログ条件)は図面に対して過剰品質になる製作方法だった
・算定により適切な送り速度が分かった
というストーリーです。
で、注目したのは「理論仕上げ面粗さの簡易計算式」
表面粗さ指示(三角マーク▽)があると(増えると)、加工時間がかかる→加工費が上がるというイメージはあったのですが、理屈や計算式からの根拠ある認識ではありませんでした。
理論仕上げ面粗さの簡易計算式
上記で紹介したサイトでは-
材質がS50Cで、テーブル送り速度200(mm/sec)、主軸回転速さ800(rpm)、工具径がΦ16でしたので、理論仕上げ面粗さRyを算出すると0.97μmとなり、図面指示の▽▽(Ry25~12.5μm)に比べると過剰品質だった
-という話でした。
仕上げ記号 | Ra 算術平均粗さ | Ry 最大高さ |
---|---|---|
~ | 100a 50a | 400s 200s |
▽ | 25a 12.5a | 100s 50s |
▽▽ | 6.3a 3.2a | 25s 12.5s |
▽▽▽ | 1.6a 0.8a 0.4a | 6.3s 3.2s 1.6s |
▽▽▽▽ | 0.2a 0.1a 0.05a 0.025a 0.012a | 0.8 0.4s 0.2s 0.1s 0.05s |
ウチは樹脂・アルミの加工が主力なので、ウチの条件で検証してみます。
【材質】ABS-N
【工具径(D)】Φ6.0
【主軸回転速さ(n)】3,000
■荒取り
【テーブル送り速度(Vf)】1,250
【理論面粗さ(Ry)】7.23
【仕上げ記号】▽▽
■仕上げ
【テーブル送り速度(Vf)】600
【理論面粗さ(Ry)】1.67
【仕上げ記号】▽▽▽
当たり前ですが、加工を速く進めると粗く、ゆっくり進めると滑らかに仕上がることが、計算からも確認できました。
表面粗さと加工時間の関係性を理屈で理解できました。
※上記では樹脂(ABS)でも▽▽▽になっていますが、あくまで理論上の話です。実際には普通の加工では▽▽▽は出ませんのでご注意ください。(理由はこちら)